赤毛の司祭
今年の春、「レッド プリースト ついに来日!」と書かれたチラシをネットで見て、そこに映っていた写真の人物を見て、私は叫んだのでした。「あー!先生!ついにやったんだ!」と。
大学4年生の夏休み、私はイギリスの南西部の避暑地で行われている、とあるサマースクールに参加しました。愛好家から演奏家までという音楽祭です。今でも、毎年続けられていてパンフレットも欠かさず送られてくるのですが、結局この年とその2年後(社会人2年目で仕事に行き詰っていた頃、逃避行のように)に参加したのを最後に行けずにいます。このサマースクールはプログラムが面白く、だいたい5週間に渡って開かれていて、1週目から順に取り上げる時代がさかのぼっていくんです。1週目は中世からルネサンス、2週目にバロック、3週目に古典派、ロマン派ときて、4週目が近代、5週目現代といった感じでしょうか。もちろん、年ごとに色々変わって、ジャズや民族音楽などクラシックに限らない音楽がテーマに据えられたりしています。当時の私は、大学の声楽科にも関わらず、音楽学科(当時楽理科)の科目に混ぜてもらってリコーダーを楽しんでいたり、(先述したこともある)学外の合唱団で初期バロックの音楽に触れていたこともあり、迷わず1~2週目の2週間をチョイスして、講座やマスタークラス、そしてコンサートを楽しんだのでした。
歌のマスターコースではエブリン・タブのクラスに入り、公開レッスンを受けたりしましたが、それよりも印象的だったのが、リコーダーのマスタークラスでした。先生はピエール・アダムス、ルックスは長身で浅黒く焼けていて野性味あふれる雰囲気、周りのイギリス人とはちょっと違うファッション(麻やコットンの生成りのシャツ、麻のズボンに草履、)、私にも分かるイギリスアクセントの強い話し方、などなどの印象を持つ超技巧的リコーダー奏者でした。一見正反対の印象を持つ(かっちりとしたチェックのシャツにスラックス、短く切りそろえた髪に真っ白できめ細かな肌)ハワード・ビーチというチェンバリストとのコンビネーションが最高で、毎夜行われる講師のコンサートでも、色々な演出をして(この言葉の分からない私も)楽しませてくれました。当時、日本で有名なリコーダー奏者というと、ソロだとミカラ・ペトリくらいしかいなかったので、「こんなすごい演奏家が、どうして有名じゃないんだろう。」と不思議に思ったものでした。ロンドンに戻った時、CDを探したらかろうじて置いてありましたが、とにかく彼の名を日本で聞きたいものだと思いながら、今年の初めまでは10年間ぐらいすっかりと忘れていたのでした。
《レッド プリースト(赤毛の司祭)・・ヴィヴァルディのあだ名」がいよいよ来日!世界の古楽シーンで、破竹の勢いを持つ英国のグループ。リコーダーはピエール・アダムス(!)、チェンバロはハワード・ビーチ(!)、他に2人の女性演奏家(バイオリン、チェロ)との比類なき4人組!!》わー。先生、やっぱりやったね~。
残念ながら生の演奏は聴きに行けなかったのですが(2007年12月の再来日の際には、ぜひ静岡近郊でお願いします!)、NHKの「クラシック倶楽部」でスタジオライブをやってくれました。もちろん録画。いや~、見せます聴かせます。感情の爆発と斬新なアイデア、それを技術的にパーフェクトに、センス良く聴かせてくれます。こんな風に自由にアレンジしちゃうなんて、これぞ古楽の醍醐味だよねえ。グループ名も、衣装も、パフォーマンスも、全部狙ってるんだけど、嫌味じゃない。すがすがしいのです。 サマースクールのコンサートでも、ビーチ氏(この方、初め別人かと思っちゃいました^^:ワイルド系に変身してます。)との演奏で片鱗を見せていたけれど、ただ超絶技巧だけで勝負するのではなく、聴く者を楽しませようという姿勢がついに世界に届いたという意味で、改めて(ひと夏の)マイティーチャーを尊敬したのでした。刺激受けました!
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コメント
初めまして。突然のコメントお許しください。
私はとある音大の声楽科の2年生女子なのですが、エブリン・タブさんが大好きで、いろいろと検索してみたらじゃすみんさんのブログへ辿り着きました。
そして、この記事を読んでこのサマースクールに興味を持ち、来年の夏に行きたい!と思ったのですが、これはダーティントンのサマースクールのことでしょうか?
私は将来古楽を中心に活動していきたい(物凄く大変なことは百も二百も承知です。)と思っています。
厚かましいことこの上ないのですが、この若輩者にこのサマースクールについてや他にも色々とご教授頂けないでしょうか?
よろしければメール下さるとうれしいです。
本当に突然すみません。
かぶ
投稿: かぶ | 2007年10月16日 (火) 07時23分